■「一筋に、ひたむきに。」

「一筋に、ひたむきに。」の言葉を合言葉に、70年以上に渡って多治見の地場産業であるタイルの製造をしてきました。多治見周辺では良質な粘土が採れるため、平安時代から陶芸が盛んです。タイル産業は大正時代から発展してきました。
昭和25年、初代若尾育造が釉薬研究所として若尾化学工業所を創業しました。釉薬とは、タイルの表面を覆っている色のついたガラス質の部分のことです。昭和34年から日東製陶所として釉薬付きのセラミックモザイクタイルの製造に着手しています。
当初は外壁タイルがメインでしたが、建築費の高騰により需要が低下しています。そのため、現在では需要のある内装タイルや床タイルの製造も行っています。

タイルは長石、粘土、陶石といった山からの自然原料によって造られます。そのため石の色に差が見られますが、その差を利用し、タイルにおいては釉薬の量を調節することで計算して色合いを出すことができます。近年ではインクジェットプリンターを使った新しいタイル印刷を行い、より細かい色合いを表現しています。

タイルは成形、施釉、焼成、選別、検査の５段階のプロセスを経て製造されます。多くのメーカーでは分業体制を取っていますが、日東製陶所ではこれらを一貫して行っています。このことにより中間のマージンが減り、コミュニケーションコストがかからないという効果があります。このプロセスが評価され、2015年にはグッドカンパニー大賞　特別賞を受賞しました。

■自社ブランド製品「SWAN TILE」を販売
「SWAN TILE」とは、自然、まち、くらしと調和しながらタイルづくりの未来を紡いでいくことをコンセプトにしたブランドです。私たちはタイルの専門商社や大手設計事務所、ディベロッパー、デザイナーを相手にしたB to B事業を中心として「SWAN TILE」を販売しています。設計段階でイメージ図を作成することで、自社ブランド製品「SWAN TILE」を使用した建築のイメージ提案を行っています。これにより、提案を受けたお客様に「SWAN TILE」の魅力を感じていただき、製品の購入へとつながっています。

2000年にはショールームを開設しました。こちらも大手設計事務所、ディベロッパー、デザイナー等を相手にしたもので、タイル現物を実際に見たり触ったりしていただくことを目的としています。他国の展示会でタイルの流行りを研究し、そこで仕入れたものをショールームで取り入れるという活動も行っています。

■タイルワークショップを楽しめる施設をオープン

2015年にはスワンタイルカフェをオープンしました。タイルいっぱいの空間になっており、隣接する工房では、タイルワークショップを楽しんでいただくことができます。これまで多治見にタイルを使って工作できる場所はなく、自ら作ったものを持ち帰ることのできる唯一の施設です。「タイルをもっと身近に感じてもらいたい」というタイル職人の愛情とこだわりがこもった空間です。

■輸入品として主流の60cm×60cmのタイルを国内製造

従来は95mm×45mmの小さなタイルが主流でした。しかし、タイルの需要は停滞しています。それでもタイルの製造を続けたい。このような思いで始めたのが、輸入品として導入されてきた60cm×60cmのタイルの国内製造です。これまで日本でのタイルは小さいものが主流で、大きいものになると海外で作られたものを輸入して使用していましたが、輸入に頼らず日本国内で製造できるようにしていきたいです。
そのため、大型タイルの国内製造に向けての設備投資をすることが決定しました。
最大のサイズは120㎝×60㎝で、2026年6月に完成予定です。

■再生原料率60%を達成した新商品「リグレイズ」

私たちは代々、タイルの再利用に取り組んできました。釉薬の廃棄物や、製造工程で商品化できなかったタイルを砕いて原料として再利用し、循環型のタイルづくりを行っています。
中でも新商品「リグレイズ」は、原料構成を一から見直し、再生原料率60％を実現した環境に配慮したタイルです。素地には釉薬の廃棄物を、釉薬には陶器のくずなどをミックスし活用しています。環境にやさしい素材を使用し、国産タイルの魅力を広めていくことが今後の私たちの役割です。