■高い専門性で、扱いの難しいゴム製品の生産設備を制御
私たちは1972年に、世界的自動車関係メーカーであるお客様の、タイヤやゴム製品を生産する工場に常駐し、生産設備の制御や電気設備に関する業務を行う企業として発足しました。

私たちが手がけるものの一つが制御盤です。製品を生産する機械が「身体」だとすれば、生産設備を制御する制御盤は「頭」。設備に指令を出し、コントロールするためのものです。その中にはブレーカーや、スイッチのオン・オフを切り替える装置、モーターの回転数を調整する装置などが入っています。

そして私たちは、制御盤を含め生産設備全体に電気を通すための配線等の工事も行っています。この制御と電気の技術で、現在では海外の拠点も含め、お客様のあらゆる工場の生産設備に関わっています。

タイヤの原料であるゴムは、その日の温度や湿度によって性質が少しずつ変わる、取り扱いの難しい素材です。私たちは、それを動かしたり成形したりすることを得意としています。
そのための設備の開発にも、お客様と一緒に長年取り組んできました。中には特許を取得した技術もあります。

■地域の公共工事で、子どもたちの快適な学校生活にも貢献
お客様が1社に限られていると、経営が不安定になる可能性もあります。そこで約30年前からは、電気技術を軸足に、他の工場での生産設備や電気関係の公共工事にも、取り扱い分野を広げました。
特に最近増えているのは、地元の愛知県豊田市の公共工事です。例えば体育館の空調工事や、LED照明の交換などを請け負っています。私たちが施工管理を行い、実際の作業を行う協力会社の方とともに工事を進めています。
こうした工事の増加に対応できるよう、人員計画を立て直し、人事異動や採用を行っているところです。

タイヤは自動車だけでなくさまざまなところで使われていて、今後も需要がなくなることはまず考えられません。
また豊田市は財政が安定している自治体です。近年は暑さ対策の工事が増えているほか、定期的に更新が必要となる公共設備も多いです。
この二つの分野の仕事が掛け合わされることで、一層の経営安定につながります。また、グローバルな目線も、ローカルな考え方も兼ね備えることができるようにもなります。

■「地域の人事部」の幹事に。採用・育成に向けてできることを積極的に
人員計画を実行に移す中で、人材の採用や育成が課題となっています。
2025年からは、豊田市版「地域の人事部」である「とよた市みんなの人事部」に参画し、幹事企業の一社を務めています。「地域の人事部」とは、地域の企業群が一体となって、関係機関の伴走支援を得ながら、人材の確保や育成、地域でのキャリアステップの構築などを行う取り組みです。他企業とともに、自分たちでやれるだけ何かやってみようと動き始めました。

この活動の中で大学の授業に参加する機会を得るなど、学校とのつながりが増えてきました。今後も参画のメリットを増やして、それを他企業にも提供していきたいです。

自社内でも、待遇を改善し、休日を年間112日から120日に増やす、福利厚生を拡充するなど、働く環境の改善に取り組んでいます。
社内は、仕事中は集中して取り組み、休憩中は上下関係を超えて仲良くしている社員が多いです。先輩が親身になって教えてくれるので、わからないことを聞きやすい雰囲気もあります。

また、電気工事を行うには免許が必要です。私たちは社内で第二種電気工事士の資格取得講座を実施。模試を行うほか、ベテラン社員が実技試験の見本を見せながら指導しています。

■技術のトータルコーディネーターを目指し、扱える分野を広げる
私たちは「エンジニアリングを探究し地域と産業を支え続ける」をパーパス（存在意義）としています。エンジニアリングとは、科学知識を物理・科学分野に応用して実現すること。それを探究するエンジニアは、常に技術の向上に努め、勉強し続けることが必要な仕事です。そのためには、知的好奇心や探究心が大事です。また、人として誠実であることも求められると思います。

そして私たちのビジョン（目標とする姿）は「自律型提案企業として技術のトータルコーディネーターになる」。これまで電気工事を専門としてきましたが、今後は生産設備の機械設計やロボットなども扱えるようになり、生産現場の複合的な要素全体を提供できるようにしたいと考えています。それができればより上流工程から担当できるようになり、経営の安定性もより高まります。
そのために、自社の設備を少しずつ整えるほか、経験者の採用や人材育成にも取り組んでいます。

このビジョンの達成に向けて邁進する中で、お客様や社員、その家族など、私たちに関わる人みんなが幸せな未来を実現させたいと考えています。