株式会社岩田三宝製作所 - 東海ヒトシゴト図鑑

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株式会社
岩田三宝
製作所

株式会社岩田三宝製作所

三方の伝統技術を活かし、現代の暮らしに合った木製商品を製造

尾張地方から日本文化を発信 「尾張てしごと未来応援団」を展開

私たちはこんな会社です

■三方の伝統技術を活かし、木製商品を製造

私たちは江戸時代の中期から神具や仏具、主に三方(さんぽう)をはじめとし、木製商品を作っている会社です。三方とは、神道の神事において使われる、神饌を載せるための台です。古代には、高貴な人物に物を献上する際にも使用されました。寺院でも同様のものが使われ、三宝(仏・法・僧)にかけて三宝と書かれることもあります。現在は、日本全国の神社や宮内庁関係の施設に向けて三方を作っています。

三方専門の製造メーカーは、全国でも5社程度となりました。時代の変化・ライフスタイルの変化に伴って、需要は減少を続けています。しかし三方は日本の様式美の一つであり、手を合わせる、拝むというような作法を含めた日本文化の中で使われてきた製品です。三方やそれをつくる技術が無くなるということは、日本文化が無くなるということだと考えています。日本人の神仏に対する伝統の心を大切に守り、継いでいくことが私たちの使命だと感じています。

私たちの作る三方には、木曾檜材を使用しています。木曾檜材とは木曾谷国有林で産する天然木曾檜で、樹齢300年前後の材料です。木曾谷は江戸時代には名古屋と同じ尾張藩の領土で、唯一幕府が直接管轄する国有林でした。地元の木材を使って三方を作るという地産地消の発想に基づき、私たちは木曾檜材にこだわり続けています。一部商品は国産の植林桧を使用していますが、木曾檜と同様柾目挽きにこだわって使用しています。

■SANBOU、NUSAの2つのブランドを展開

近年は時代のニーズに応える商品づくりをしようと自社ブランドも立ちあげています。三方づくりの伝統技術には木を曲げ、釘を使わずに木組みをするという特徴があります。この技術と木曾檜材にこだわり木製特有の温もりを活かし、現代の日常アイテムやはれの日に使う商品をSANBOUNUSAの2つのブランドで展開しています。

SANBOUではボトルクーラー、コースター、テッシュボックス、長手盆を製造、販売しています。NUSAはオーガニック素材のデザインに長けているデザイナーTakumi Shimamuraのディレクションのもと新しい三方という意味と神様に捧げる供え物“特別なギフト”という意味を込め、お弁当からトレイ、ボウルや折り畳みスツール、テーブルなど多くのジャンルにわたる日常生活のブランドを作っています。その中でも看板商品はお弁当箱です。木は余分な水分を吸い取ってくれるため、食べ物を長時間保存することができます。彩りや栄養バランスを考え丁寧に作られるお弁当は近年、海外でも注目を集めています。お弁当という日本の食文化を含めて将来に引き継いでいきたいです。

私たちが挑戦していることを紹介します

■地元の小学生を対象に「尾張てしごと未来応援団」を展開
2024年からは尾張てしごと未来応援団というプロジェクトも始めました。尾張地方を中心とした伝統工芸の価値と魅力を発信し体験してもらうワークショップを開催するというものです。愛知県には15品目の国指定伝統的工芸品があり、それぞれの工芸品を作り続けている職人がいます。この尾張てしごと未来応援団は私たち岩田三宝製作所以外にも職人や応援いただいているプロボノメンバーなどで構成されています。

この活動を始めた背景には日本の伝統文化が薄れていくことへの危機感があります。例えば、お正月の鏡もち。現代ではスーパーマーケットで鏡もちを模したプラスチック製の容器に切り餅を入れた商品が手軽に購入できるなど形も変わっていますし、そもそも鏡もち飾るという行為自体行われていない家庭も多いのではないでしょうか。ライフスタイルの変化に伴い日本の文化を知らない世代が増えていることを実感し、より能動的に文化を発信したいと考えるようになりました。

尾張てしごと未来応援団が目指しているのは、日本文化を知るきっかけ=「エントリー」の場をつくること。私たちは、小学生のうちから地元の伝統産業に触れる体験を提供し、子どもたちが学んだことを家族と共有し、家庭の中にも文化を持ち帰ってもらう――そんな学びの循環をつくりたいと考えています。

この取り組みは、名古屋市熱田区の白鳥小学校での活動から始まりました。ご縁をいただいて実施したこのプログラムが評価され、現在では少しずつその輪が広がりつつあります。私たちは、伝統産業が根づく名古屋から日本文化を改めて発信し、未来へとつなげていくことを目指しています。

提供するワークショップは、お正月、上巳の節句、端午の節句、七夕、重陽の節句といった四季折々の年中行事をテーマに構成されています。単にものづくりを体験するだけでなく、実際に職人を講師として招き、文化的背景を含めた学びの時間を大切にしています。子どもたちはこうした体験を通じて、日本文化、そして地域の伝統に触れることができ、自然と地元への愛着が育まれると考えています。

これらの活動は、薄れつつある日本文化の魅力や地域への誇りを再び呼び起こすものです。尾張地方から、次の世代へと価値をつないでいく――それが私たちの願いです。

■地元のホテルと連携した伝統産業の体験プログラムを企画

愛知県は伝統産業が盛んな地域ですが、観光分野においては、伝統産業を体験できるアクティビティが極めて少ないのが現状です。そこで私たちは、地元のホテルと連携し、四季折々の伝統工芸を体験できる宿泊者向けプログラムの実現を目指しています。

ホテルは観光客にとって必ず立ち寄る身近な施設であり、旅行中の重要な拠点です。宿泊プランに伝統産業の体験を組み込むことで、食事や入浴、就寝といった基本的な利用だけでなく、日本文化に触れる特別な時間を提供することができます。この体験は年齢や天候に左右されないため、誰にとっても参加しやすく、観光の質を高める新たな価値になると考えています。

ホテル側にとっても、サービスの付加価値が高まり集客力の向上につながります。また、私たちにとっても、伝統産業の魅力を多くの人に知っていただき、工芸品に触れてもらう機会を増やすことができます。関わるすべての人にとって“win-win”となる仕組みをつくることを、私たちは大切にしています。

このように私たちは、三方や木製商品の製造・販売にとどまらず、地域の学校や宿泊施設と連携しながら、伝統産業を日常に取り戻す取り組みを進めています。名古屋を「日本文化が息づく街」として、遠方からの観光客にもその魅力を届けていきたいと考えています。そして、今や忘れられつつある日本の伝統を再び暮らしの中に根付かせ、次世代へと受け継いでいく持続可能な仕組みを築くことが、私たちの目指すビジョンです。

 

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企業概要

代表者名
岩田康行
従業員数
11名
資本金
1000万円
事業内容
三宝、供笥、華束、八足台の製造・卸
業種
製造業
エリア別カテゴリ
愛知名古屋
業種別カテゴリ
製造業
WEB
http://www.iwata-ss.co.jp/
住所
名古屋市熱田区中田町6番9号
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