■7つの事業を行う「飛騨五木グループ」
飛騨五木グループは、株式会社井上工務店、飛騨五木株式会社、すみれ地域信託株式会社、すみれリビング株式会社などから成り立ち、木に関わる川上から川下までのトータルプロデュースを行っています。
グループでは「2035年、当たり前に木材のある社会」というビジョンを掲げて、7つの事業を行っています。
その中で地域商社事業をメインで行っているのが、私たち飛騨五木株式会社です。地域産材を使った「あそびば」を、岐阜県内で4か所、京都府で１か所運営しています。また、木材や林業に関わる人材育成も行っており、高校での出前授業や、岐阜県飛騨市と提携した林業体験ツアーの企画・運営などをしてきました。ウェブメディアやECサイトの運営なども行っています。

■木の「あそびば」で地域の発展を目指す
「あそびば」を始めたきっかけは、住宅を建てる一般のお客様が、地域産材や国産木材に価値を見出さなくなっていると気付き、危機感を覚えたことです。子どもがいて、家の購入を検討する世代の方に、木の空間の魅力を知ってもらう場があるといいのではないかと考えました。
「地域商社」事業と呼んでいるのは、「あそびば」から地域が発展し、ブランド力を持てるよう考えているからです。子どもたちが地域の大人と関わる機会をつくる、職歴にブランクのあるママさんなども含めた地元の方を積極的に雇用するなど、「あそびば」が地域でどんな役割を果たすかをいつも気にしています。

飛騨五木グループの企業理念は「ちいきで愛され、旅する五木」。もともと地域の工務店として、家を建てたお客様が周りに紹介してくださることで成り立ってきました。地域のことを考えるというのは、グループの根本にある意識です。
また、本社のある岐阜県高山市は、面積の92%が森林。それをもっと自然資本に替えることができれば、地域が豊かになるはずです。飛騨の建築で使われる五種類の木材を「飛騨五木」と名付け、地域産材のブランド化を進めています。

■一般の人に届くように、林業を伝える
事業を行うにあたっては、一般の方の感覚を忘れないようにしています。
ウェブメディアでは、林業に興味がない読者にわざわざ見てもらえるよう、写真や連載のテーマなどを工夫。林業ツアーでも、山や工場を一日中見せるのではなく、地元の人との食事会や、移住経験者の話を聞く機会を盛り込み、地元のおいしいお土産も用意します。林業の世界をどう伝えるか、そのデザインに知恵を絞ることにニーズがあると感じています。

■社員が個性を伸ばし、毎日を楽しく暮らしてほしい
「あそびば」づくりを現場で担っているのは、ほとんどが新卒で入社した6年目くらいまでの社員で、社員の平均年齢が若いのが特徴です。過去には2年目から店長を任せたケースもありました。
マネージャーである私は、東京からリモート勤務をしているため、細かく指示をするわけではありません。やりたいことに向けて自らの頭で考え行動し、必要だと思うことをやってもらうスタイルです。行き詰まったり悩んだりしたときには、すぐにフォローします。
私からは「苦手なことはすぐに言ってほしい」と声をかけています。仕事は１日の中でそれなりの時間を要するものなので、全員がストレスなくやってほしいし、とにかく毎日楽しく暮らしてほしいと考えています。

今後は、社員の個性をさらに伸ばして、たとえて言うなら芸能事務所のようにタレントがたくさんいる状態にしたい。飛騨五木という看板がありつつも、それぞれが自分の名前で仕事を取ってこられるような人材になってほしいと思います。そして、それでも「飛騨五木が好きだから残る」と言ってもらえるよう、会社の制度や仕事の内容などの魅力を高めていきたいです。

■商圏を考えたら成り立たない場所でもお店を
社員がみんな楽しく暮らしていることを前提としながら、過疎地域でもやっていけるお店をつくりたいと考えています。一般的に、お店を出すときには商圏を考慮しますが、そこから漏れた地域は、遊ぶところも働くところもなくなってしまう。商圏分析をしつつも、普通に考えたら無理な場所をどうしたら豊かな暮らしができる地域になるかと、あらゆる方法を考える会社でありたいです。