■スピードを強みに、お客様の心を満たす
私たちは、水栓金具、蛇口をはじめとした水回り機器の、開発から設計、製造、販売までを行っているメーカーです。自分たちで商品を開発することもあれば、お客様の要望に合ったものを設計、製造することもあります。大手メーカーのシステムキッチン、洗面台、ガス給湯器などにも私たちの製品が使われています。
蛇口のメーカーは国内に6〜7社のみ。その中で最小規模の私たちは、設計や営業対応のスピードを強みとしています。

最近では、バックヤード作業でDX推進に力を入れ、生産管理板のデジタル化やRPA（パソコン上での業務の自動化）などに取り組んでいます。それは、お客様に満足していただくために「見えるところは手間暇かけて、見えないところで効率化」と考えているからです。
私たちの定めるミッションは「住まいを潤す。こころを、潤す。」お客様は絶対に人間なので、心を持っている。その心をいかに満足な状態にするかというのが、仕事の原点です。 

■強みを生かして、差別化した商品を開発
私たちは経営理念を考える中で、会社が存在する目的を「メンバー（パートなども含めた従業員）とその家族の幸せを実現するため」と決めました。経営理念の中でも「人間尊重の理念の基づき第一にメンバーの幸せを追求し」と定めています。
その幸せの実現のためには、会社の利益を増やす必要があります。そこで、事業構造を変え、ライバルである大手企業とは違う、お客様の望むことをしなければと考えるようになりました。

今力を入れていることの一つが、屋外水栓をはじめとする家の外の水回り機器（エクステリア分野）。もう一つが、2022年に発売した来客用自動水栓手洗い器「AWAMIST（アワミスト）」です。アワミストはウルトラファインバブルで手を洗うもので、汚れはよく落ち、水はねは最小に。手洗い機を直接触らないので感染症対策もできます。

大手企業とは違う、私たちの強みを生かした、差別化された新商品をつくりたいと考えていたときに、あるコンサルティング会社の講演を聞き、すぐに電話して支援を依頼。その会社の指南のもと、まずはターゲットを決め、コンセプトの言葉づくりを、チームメンバーで会議を重ねながら徹底して行いました。 プロダクトデザインは「グッドデザイン賞を取りたい」と、昨年の同賞受賞デザイナーをインターネットで調べて依頼。板金や木工の会社も自分たちで調べました。
完成した商品はグッドデザイン賞をはじめ4つの賞を受賞するなど、好評をいただいています。

■メンバーとその家族の幸せのために利益を拡大
上述のように「メンバーとその家族の幸せを実現するために会社が存在する」と決めた背景には、創業者の「人は謙虚でないとあかん」「会社で働く人は家族だから大事にするのは当たり前」といった教えがありました。
それを幼いころから繰り返し聞いていたのが、創業者の孫である現代表。入社後しばらくして、その言葉を思い出しました。その後日本のトップ経営者の考えにも触れ、その実践方法を学びながら自身の考えを固め、それを会社で反映させる行動を取り続けてきたのです。毎年、経営計画書を練り直す中でも、メンバーとその家族の幸せを実現するには、利益がまだ足りない、ではどうするか、と考えています。

そうした中で2022年には、メンバーが物価高に対応できるよう、二度の給与アップを実現させました。また、生産性の向上をはかった上で、年間休日も109日から120日に増やしています。

■幅広いスキル獲得の支援と福利厚生で、若手にとって魅力ある会社に
若い世代の育成に向けて、力を入れている1点目は福利厚生です。まだ制度ができあがってはいないのですが、毎年ブラッシュアップしています。
もう1点は、メンバーが抱く将来への不安を減らすため、仕事に幅を持たせ、スキルを身につけてもらうことです。例えば営業のメンバーは、自社の製品を売るだけでなく、お客様の困りごとを解決するコンサルティングも行う。製造でも、より短時間で高品質に製造し、働きやすくなるよう、改善活動を自分たちで行っています。

資格取得支援も強化。50以上の資格について、取得費用を会社が負担し、取得すれば毎月資格手当を出しています。
また、メンバーの人間力を高めることを目指した活動も実施。理想の社員像をもとにグループで評価しあったり、自己肯定感を高める「自画自賛日記」を共有したりしています。

■みんなが喜ぶことを、面白がって取り組めるか
やりたいことが成功するか失敗するかの分かれ目は、人から応援してもらえるかどうかだと思います。応援してもらえるような、みんなが喜んでくれることに、興味を持って面白がって取り組めるのは、すごい才能です。それができる人、日ごろから学び、なんでも前向きにとらえて一緒に頑張れる人はいいなと思います。

それぞれ得手不得手がありますが、お互いに埋めていけるといい。自分の能力を世のため人のために使い、力を合わせることで、みんなが輝ける世の中になるといいと思います。