2023年07月08日(土)
岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【株式会社美光技研】
2023年07月08日(土)
岐阜大学社会システム経営学環の2024年度1年生31人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。
-企業概要-
代表者名:和田 昇悟
事業内容:金属研磨加工業
業種:製造業
住所:岐阜県美濃加茂市野笹町2-3-33
WEB:http://www.bikogiken.co.jp/
訪問企業をより詳しく知りたい方は写真をクリック!
学生)
美光技研は13名の会社だそうですが、社員さんと良い関係を築くための工夫はありますか?
美光技研:和田社長)
コミュニケーションの機会が少ないと各自が何をしているのか分からなくなってしまうため、社員とは頻繁にコミュニケーションを取るように努めています。また、私自身も美光技研で働き始めた20代の頃に現場の仕事をすべて経験し、理解しているということもあり、現場で働く社員との信頼関係が築けました。このような経験から、社員との良好な関係を保つことができています。
学生)
デザインを決める方法や技術のポイントを教えてください
美光技研:和田社長)
主にお客様からのご依頼に合わせて作ることが多いですが、現場の試作担当者や社内のデザイナーがゼロから作ることもあります。素材の質感を生かすため、アルミやステンレスなどをそのまま磨いて、付加価値をつけています。また、立体感や奥行き感を出しているため、見る角度によって柄の見え方が異なります。これらは、テーマパークの装飾品やデコレーショントラックなどに利用されています。
学生)
会社の自慢を教えてください。
美光技研:和田社長)
美光技研は、凹凸をなくす研磨ではなく、見た目のための金属研磨に特化している点が自慢です。まっさらで傷がないきれいさではなく、あえて傷をつけてデザインを作り出すことに注力しています。さらに、自社開発の研磨機械で他にはない唯一無二のデザインを生み出しています。
学生)
天狗の飛び出し看板がありますが、これはどういったものですか?
美光技研:和田社長)
社内の敷地に立っている天狗のキャラクターが描かれた「気ぃ付けやーよ」という飛び出し看板は、美濃加茂市市政70周年記念で交通安全祈願の「天狗」をモチーフに、地元の子供たちの安全を守るために作ったものです。さらに、老朽化したブロック塀をデザイン研磨した壁面パネルにするなど、子供たちが楽しんで通学できるような取り組みを行っています。地域や子供たちに優しい素敵な企業を目指しています。
私が美光技研さんへ訪問させてもらった中で印象に残ったところは、デザイン研磨へのこだわりです。美光技研さんは金属にキズを付けることで生まれる意匠によって付加価値をもたらす加工技術であるデザイン研磨というニッチな産業に絞り、その技術にこだわり続けてきました。研磨具を自社で開発し、オリジナルの模様を創り出すことで他社では真似できない独自の加工技術を数多く生み出しています。
社内を見学させてもらったときには、まるで浮き出ているように見える模様や角度によって見え方が変わる模様、光を当てることで文字が現れる不思議な加工など様々なものを見せてもらいました。
誰もが知っている自動車の内装やゲーム機、カメラなどの意匠も担当していて、美光技研さんの技術力は多くの有名企業にも知られているのだと感じました。
美光技研さんがデザイン研磨にこだわり、50年以上進化をし続けてきたように、1つのことにこだわり、さらに進化し続ける姿勢を私も見習っていきたいと思いました。
地域の人々に仕事内容を伝えるために、工場の外にデザインされた金属の柵を設置するというアイデアに魅力を感じました。私の地元には、事業内容が分からない工場がたくさんあります。そのため、自社でデザインした柵の設置を通じて事業内容を伝えることは、地元の人々に興味を持ってもらいやすくなると感じました。さらに、柵には様々な柄がデザインされているため、地域の子供たちも楽しみながら通学することができ、子供たちの日常に彩りを添えることができます。また、地域の方々とコラボレーションして製品を作ることで、会社と地域との親密な関係を築くことができると感じました。一見、金属加工と地域貢献は関係がないように思われますが、自分たちの強みを生かしながら地域貢献ができるということに気付きました。私は地域貢献をすることは難しいと思っていましたが、自分の得意分野と地域貢献を結び付けるという考え方によって取り組みやすくなると感じたので、さっそく挑戦してみようと思います。
ただ「研磨」という言葉だけ聞くと、ざらざらをきれいにするもの、さらさらと見た目をよくするものというイメージが出てきます。しかし、美光技研さんの研磨は、そういったざらざらをなくすための研磨ではなく、あえてきれいなざらざらをつける「デザイン研磨」というものです。
まっさらな鉄板にオリジナルなデザインのデザイン研磨を施すことで、唯一無二の作品へと仕上がります。
実際に私も過去の作品を拝見したのですが、丸の模様や波の模様、見る角度によって見え方が変わる模様など、その種類は様々で、とても興味深かったです。
ただの鉄板とデザイン研磨されたもの。どちらも機能面ではあまり違いがないのかもしれませんが、唯一無二のデザインを施された鉄の板はその製品自体の個性を際立たせる大切なパーツであると考えます。
製品を際立たせる、縁の下の力持ち的存在ですが、あるのとないのとでは大きく違うと思いました。
何もなかったまっさらな金属の板に傷を付けることで生まれる高級感、奥行き、立体感、素材感・・・。自社開発の研磨具やオーダーメイドの機械といった、美光技研が持っている唯一無二の研磨技術がつくり出すその動きは、まさに光の芸術と言えます。美光技研の技術が施された金属板や製品を実際に見たとき、その繊細な光や模様に完全に魅せられました。シンプルで細かいラインが無数に折り重なった模様から、複雑でなぜか3Dに見えてしまうデザインまで、加工方法がたくさんあり、どれも魅力的なデザインでした。また、これらのデザインは美光技研の皆さんで考えられています。社長の和田さんは、自社で加工した製品を見て驚かれたり、お客さんに喜んでもらったりしたときにやりがいを感じる、と語っており、この技術を用いて、きっと今までたくさんの人を笑顔にしてきたのだろうなと感じました。ホームページやInstagramにも研磨例としてたくさん画像が投稿されていますが、美光技研の壁面パネルでその技術を見ることができるので、ぜひご覧いただければ幸いです。
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■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2024年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2024年度前期
■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで