岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【株式会社田中工業所】

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岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【株式会社田中工業所】

岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【株式会社田中工業所】

岐阜大学社会システム経営学環の2024年度1年生31人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。

-企業概要-
代表者名:田中 佑子
事業内容:設備工事業(凝集加圧浮上装置の製造・納入)
業種:製造業
住所:岐阜県大垣市西崎町4丁目18番地
WEB:https://tanaka-kgs.co.jp/
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学生)
貴社の自慢の技術を教えてください。
田中工業所:田中社長)
近年多くなっているタイプの一般的な加圧浮上装置の製造会社では、特殊なポンプを使っているため、ポンプが傷むと専用のポンプごと取り替えなければなりません。しかし、田中工業所の加圧浮上装置は、部品が工夫されていて、空気を吸う部品とポンプが別になっています。そのため、ポンプが傷んだ場合、ポンプだけを取り替えればよいです。そのため、メンテナンスが容易にできるのが、ユーザーにとって利点になります。

 

学生)
2022年に社長に就任されたとホームページで拝見しました。社長に就任してから会社の見え方に変化はありましたか?
田中工業所:田中社長)
社長就任前から会社に関わっていたため、見え方自体は大きくは変わりませんでした。ただ、小さな決定書類のひとつひとつにサインが必要であり、「すべての決済は私がするのだ」と強く感じました。会社の在庫の管理など、大きな会社ではできることも苦手であったりするので、気が付いた時がスタートだと思って行動しています。
とはいえ、本業ではない細かい決済などの仕事が他の社員にも目に見える状態にある方が、よい会社と言えると思います。

学生)
一番苦しかった時期と、その乗り越え方を教えてください。
田中工業所:田中社長)
一番苦しい時期は、入社したての頃でした。仕事はたくさんありましたが、キャッシュフローがうまくいかず、非常に苦しい状況でした。商売は通常、先に仕事をして、その後に代金が支払われるため、「仕事はあるのに次のためのお金がない」という状況が起こり得ます。
この問題を解決するために、私たちは基本に立ち返り、キャッシュフローを丁寧に組み立て直しました。具体的には、収入と支出のタイミングを見直し、資金がスムーズに流れるように計画を立てました。これにより、次の仕事のための資金を確保し、安定した経営ができるようになりました。

学生)
企業が倒産しそうな時、どのような対処をすればいいですか。
田中工業所:田中社長)
まず倒産すると言うことはどういうことなのか考える必要があります。それは資金がないから倒産するのです。お金の流れはものが売れればすぐに動くわけではありません。手形という形で払われる事もあります。ものが売れてもお金がもらえるのは先なのでせっかくたくさん注文があっても資金がなくて注文が受け入れられないことがあったり、支払いが重なり、首が回らなくなってしまうことがあります。なので、お金の流れをよく考えることが大切です。


私は社長の、基本に忠実かつ効率よくできるところは工夫するという姿勢に魅力を感じました。例えば、資金繰りは資金繰り表を用いて誤差が出ないようにし、製造技術などは創業から作り方を変えることなく継続するなど基本に忠実に行い、一方で社内の業務管理は効率化を進めるなど、働きやすい環境が整えられていました。特に、現場の勘に頼りがちになっていたという工程管理では、アプリ作成ツールを使って直感的に操作し、簡単に工程を共有できるアプリを作るなど、社員に負担をかけない仕組みづくりがされています。

顧客に対してだけでなく、社員に対しても「どうしたらもっと良くできるか」「どうしたら使いやすく、便利だと感じてもらえるか」を試行錯誤し続ける姿が非常に印象に残り、尊敬できると感じました。

 

私は、現場の作業を通じて、男性が務めるイメージが強かった職業分野でも女性が活躍できることを実感しました。

以前は、女性は事務職に就くイメージが強かったですが、性別にとらわれず、誰しもが能力を発揮できる環境を目指していました。
現場では作業の過程で体力が必要な部分がありますが、作業管理や安全管理など知識が活かせる部分も多く、性能と性別に関係なく誰もが自分なりの長所を発揮できると思います。

今後の日本の課題として、少ない人数でも効率的に仕事を行っていくためには、女性も男性と同様に職場で活躍できる機会を増やしていくことが今以上に必要になっていきます。性別にとらわれず、誰もが自分の可能性を伸ばせる環境が整っていたのは大きな魅力を持っていると感じました。

 

田中工業所では、加圧浮上装置の設計から備え付け、メンテナンスまで一貫して自社で行っています。すべてを自社で行うことで、製造する人が製品の詳細をよく理解することができます。また、顧客側は、製造している人の顔がわかります。そのため、信頼できる製品ができると思いました。

さらに、大企業と違って、製品を1から作ることができるという魅力もあると思いました。例えば、自動車工場では、関係会社に部品の製造を依頼し、集めた部品を使って自動車の一部を組み立てていくのが一般的です。その結果、仕事の意味が失われ、作業員の勤労意欲が低下してしまうこともあります。しかし、田中工業所では、自社で一貫して行うため、町工場の強みとモノづくりの面白さが感じられると思いました。実際に、製造現場を見学し、材料に設計図通りに目印をつけていく「けがき」から製品の開発まで行っていることがわかりました。モノづくりの楽しさが伝わってきて、わくわくしました。

 

田中工業所は加圧浮上装置の製作において、独自の強みを持つ企業です。その最大の強みは「ポンプ」にあります。多くの企業が特殊なポンプを購入して使用する中、田中工業所は一般的なポンプに特殊な部品を取り付けるという方法を採用しています。このアプローチにより、規格変更があった際も特注ポンプを再度購入する必要がなく、コスト削減に繋がり、メンテナンスに対しても柔軟に対応できる点が際立っています。

さらに、田中工業所の技術力は、カスタマイズの柔軟性においても競合他社を凌駕しています。一般的なポンプに特殊部品を組み合わせることで、顧客の多様なニーズに迅速かつ的確に応えることが可能です。この点は、特注ポンプに依存する他社にはない利便性と競争力をもたらします。

田中工業所のポンプに対するアプローチは、コスト効率、柔軟性、メンテナンスの容易さという面で他社と一線を画しており、顧客に対する強力なアピールポイントとなっています。これが、田中工業所の競合他社に対する大きな強みです。


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■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2024年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2024年度前期

■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで