2023年07月09日(日)
岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【船橋株式会社】
2023年07月09日(日)
岐阜大学社会システム経営学環の2024年度1年生31人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。
-企業概要-
代表者名:舟橋 昭彦
事業内容:合羽、防水エプロン 製造・加工・販売
業種:衣料品製造・販売
住所:名古屋市中村区名駅五丁目23番8号
WEB:https://2784.co.jp/
訪問企業をより詳しく知りたい方は写真をクリック!
学生)
この事業を展開している理由と目標について教えてください。
船橋:舟橋社長)
普段あまり注目されない消防団員や警備員、食品加工や卸業等に関わる仕事をしている人たちにスポットライトを当て、輝けるよう手助けしたいと考えています。
また会社として、職種によって変化するカッパや防水エプロンの需要を細かく捉えて、雨や水、油や溶剤から働く人々を守るカッパや防水エプロンを生産することを目指しています。彼らが快適で安全に働けるようになることが私たちの目標です。
学生)
会社の強みと課題について、具体的なエピソードを交えて教えてください。
船橋:舟橋社長)
時代に合わせて柔軟に新しいチャレンジをするのが強みです。
会社としては102年の歴史を築いており、設立当初はテントを主に生産していましたが、時代の変化に伴い、主力製品がカッパや防水エプロンとなりました。同様に、最近ではコロナ禍により外食需要が低下したことや、医療用ガウンが全国的にも足りず困っている方達が多くいることを聞き、自社の技術力を活かして、医療用ガウンの生産にも力を入れていました。
一方で、課題は「防水加工技術をどのように継承していくのか?」です。現在、ベテランのシニア層スタッフが多く活躍していますが、次世代への船橋の技術を繋いでいかなければいけません。現在、積極的に新卒採用など若者の採用に力を入れていますが、シニア層のスタッフと若手スタッフが共存し、お互いに高め合う組織にもなっていきたいと考えています。
また、商品に関しては、海外製品などには価格競争で勝てないため、他社ができないような差別化されたモノづくりに挑戦しています。
学生)
お客様の見えないニーズをどのように見つけていますか?
船橋:舟橋社長)
使用現場に訪問し、作業の様子をしっかり観察した上で新たな発見をすることです。代理店を介した販売方法だと安価な商品が求められることが多いです。
しかし、実際にカッパや防水エプロンを使用している現場では代理店やメーカーがニーズを把握していないことが多く、現場で使用する人々も「こんなものだ」と、商品に期待することをやめてしまう可能性があります。このような現状を把握するためには、直接現場へ赴くことが重要です。ときには、そこで一緒に作業することで潜在的なニーズを発見しています。
学生)
会社として、新しく挑戦していることは何ですか。
船橋:舟橋社長)
漁師用の合羽をつくりたいと考えています。
昔使われていた合羽を復活させてほしいという漁師さんの声を受け、現在製造していない合羽を復活させたいと考えました。また、漁師さんがとる魚の種類や気候に合った合羽が必要だというニーズを聞き、カスタマイズ可能なオーダーメイドの合羽を提案しました。
現在はスマホで注文するための発注システムなどを開発中です。
船橋では、カッパや防水エプロンの新商品を企画する際、実際に仕事現場に赴き、ときには現場で働くことで、細かいサイズ調整やその他の気になる点、困っていることなどを直接耳にしたり、自身で体感することを大事にされていました。現場でのフィードバックを受け取ることで、仕事現場の人々の需要にマッチした商品作りが可能になるとのことでした。受け身ではなく、自ら積極的に動くことで、本当の需要を知ることができるという営業方法は強く印象に残りました。
ある一つの水産市場では、現在、船橋の防水エプロンが使用されていますが、営業で訪れるまでは市場の方々の防水エプロンのニーズを把握しておらず、売り上げは伸びていなかったそうです。しかし、現地に営業で訪れることで卸売業者の防水エプロンへのニーズを把握でき、その結果、市場の大半が船橋の防水エプロンを着用するようになったというエピソードを聞きました。
また、漁師さんたちの中には気難しい方もいるそうですが、現地に赴き、直接会話することで信頼を得て商品を購入してもらえるようになったエピソードもお聞きしました。この話を聞いて、現場で直接得られるフィードバックを活かすことの大切さと、対面営業の強みについて強く印象に残りました。今後、自分が仕事を進める上でも、このような積極的な姿勢を参考にしたいと思います。
船橋は、シニア雇用を積極的に行っており、「孫サポート休暇」という他の会社にはない制度で長く続けてもらう仕組みをつくっています。「孫サポート休暇」というのは、お孫さんが産まれたら、一か月休むことができる制度で、これまで4人で7回、制度が活用された実績があります。他にも、従業員の中で仕事を定期的に入れ替えることで、誰かが休んだ時の埋め合わせができるようにしているそうです。
私は「孫サポート休暇」という仕組みを初めて聞きましたが、定年の引き上げも相まって長く働きたい人は多いと思うので、今の時代に合った良い取り組みだと感じました。
また、社員の半分は20代・30代の若手のため、長く勤められているシニア層の方々の持っている技術をどうやって次世代に繋げていくかを意識されています。誰がやっても同じようなクオリティを保てるように、データ化して管理し、なるべく新しい機械を導入するように心掛けているそうです。
人手不足という課題に対して、新卒採用だけではなく、シニア雇用に目を付けているように、時代に合わせて柔軟に変化できているからこそ、会社が長く続くのだと感じました。
はじめは合羽を作っている会社と聞いて昔ながらの伝統的な工場や経営をイメージしていましたが、新しくなった工場と事務所に入ったとき、そのイメージは一変しました。
なぜなら、建物の内部がモダンな空間だったことや、合羽を連想させるこだわったデザインが各所にあったからです。
その後のインタビューを通じて、顧客の潜在ニーズを見逃さないヒアリング調査や現場に赴く行動力、作業工程の中の1歩1秒の削減を目指すトヨタ生産方式の取り入れなど、商品製造に対する細かな部分までのこだわりが船橋の強い魅力だと感じました。
商品に対する強い思いがあるからこそ、お客様との信頼関係を築くことができ、この姿勢が、お客様から高く評価される理由だと感じました。
船橋は、ユーザーのニーズを見逃さず、その時々の状況に応じた商品を提供しています。このアプローチにより、商品が完成していなくても購入していただけるほど、高い満足度を実現しています。これは、常に顧客満足度を最優先に考え、柔軟に対応する姿勢がもたらす成果だと思います。
また、顧客の声に耳を傾け、それを製品開発やサービスに反映させることも重視しています。新商品の開発プロセスでは、ユーザーのフィードバックを早い段階で取り入れ、迅速な改善を行っています。これにより、ユーザーが求める機能やサービスを迅速に提供できるようになります。顧客の要望にも迅速に対応することで、信頼関係を築き、長期的なリピーターを獲得しています。実際に、社長が営業に行ったある食肉工場では「ここまでやる社長見たことない」と言われたそうです。
このような努力を積み重ね、ユーザーの悩みを解決し続けていることが、顧客に愛される理由なのだと思いました。
その他の学生が取材した企業さんはこちら!
■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2024年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2024年度前期
■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで