2025年07月22日(火)
ものづくり産業の「頭脳」をつくる 地元を愛する縁の下の力持ち、トヨデン
2025年07月22日(火)

■縁の下の力持ち、トヨデン
普通自動車にも商用車にも、ガソリン車にも電気自動車にも、一輪車にも二輪車にも、そして三輪や四輪車にも欠かせないものがあります。それは何でしょうか! そうです、タイヤです。タイヤを製造するメーカーはイメージがつく方もいるかもしれませんが、そのタイヤを作るための設備にはどんなものが必要かご存じですか?
今回ご紹介する豊田電気株式会社(通称、トヨデン)は、タイヤを作る機械などを動かすための「制御盤」と呼ばれる装置を設計・製造しています。この「制御盤」は、機械が正しく動くように、電気的にコントロールするためのものです。
トヨデンは、その制御盤を作るためのタイヤを作るための機械がスムーズに動くように、製品が完成するまでの川上から川下の工程を、豊田電気のプロフェッショナル達が協力して仕上げる強みがあります。
- 電気機器の接続とレイアウトを決定する「ハード図面」を設計
- 機械を動かすために必要なプログラムを「PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)」というコンピュータに書き込みをし機械が思った通りに動くようにする(ソフト設計)
- 作った制御盤を実際の工場で使えるように試運転を行い、問題がなければ、生産ラインに実際に取り入れて、工場で使えるようにする

タイヤ生産設備のデモライン
■タイヤはつくっていません!「頭脳」をつくっています!

プチ制御盤
ものづくりの生産現場に足を踏み入れて気が付くのは、実に多くの生産設備が稼働していることです。産業機械や工作機械といった設備がなければ、モノを生み出すことはできません。そしてこれら生産設備を稼働させるためには、「頭脳」が必要となってきます。この「頭脳」こそ、豊田電気が強みとする制御盤と呼ばれる部品です。制御盤とは、機械や設備を制御するための電気機器や部品を収納する箱です。皆さんも様々な施設で見たことがあることでしょう。実は豊田電気は、豊田スタジアムの音響設備にも携わるほど、高い技術力を有しています。
■地名がつくほど地元を愛する企業
豊田電気という名前から、私たちはトヨタ自動車に関連する企業かな?と想像していました。実際はトヨタ自動車との直接的なお仕事ではなく、創業者の名前が豊田(とよだ)さんだからつけた名前。創立時はタイヤ生産設備の電気工事を請け負う企業として事業を展開し、それ以降は電気工事に留まらず機械や生産設備の電気制御へと事業内容を拡大してきたとのこと。そして2000年頃からは公共工事に進出し、上述のスタジアムや地元中学校の工事なども手掛けてきたそうです。同社いわく、そこには「地元貢献」の想いも込めているそう。地域の困りごとを地域企業が手掛ける。「少しでも地元に貢献できれば」という想いは、従業員の方の多くが地元出身という雇用面にも現れていました。

豊田スタジアム
■豊田市からグローバル企業を支え、地域も支える存在に
豊田電気のお取引先は、上述のタイヤメーカーや行政(公共工事)など、多岐にわたります。タイヤメーカーはグローバルに生産工場を立地するため、豊田電気の担当者も海外現地で設備設置にあたることがあるそうです。従業員数約60名と決して大きな企業ではないにも関わらず、海外・地域のために幅広い仕事をこなし、汗を流すお仕事のあり方はまさに「山椒は小粒でもピリリと辛い」と言えるでしょう。中小企業ならではのスピーディーな対応に加え、その技術力の高さは私たちに強いインパクトを与えてくれました。
最後に、豊田電気はさらなるステップアップを目指して歩んでいます。2021年には工場の生産設備をトータルコーディネートできる部署を発足させ、産業用ロボットなどの技術の高度化にも対応しながら、生産現場を支える担い手としての実力をさらに強化している様子がうかがえました。
<企画概要>
とよた市みんなの人事部×名城大学経済学部×東海ヒトシゴト図鑑
学生が企業の“戦略”に迫る、実践的フィールドワークプログラム
本記事は名城大学経済学部の「社会フィールドワークI・II」の受講生が取材・記事執筆を行いました!
学生の視点で産業構造や事業の強みを分析し、魅力を深掘りした内容になっています。
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