株式会社エム・エム・ヨシハシ - 東海ヒトシゴト図鑑

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株式会社
エム・エム・ヨシハシ

株式会社エム・エム・ヨシハシ

型づくりの技術とアイデアによる自社ブランド製品が、今では主力事業に

多様な商品や地域のイベントを入り口に、技術や背景も伝えたい

私たちはこんな会社です

■幅広い陶磁器製品の型を製作
陶磁器の大規模な産地では、工程ごとに分業で陶磁器をつくります。
私たちは瀬戸焼の産地である愛知県瀬戸市で、型づくりの工程を担っています。陶磁器を焼いて完成させる「窯元」が、粘土を流し込んで成形するときに使う型です。

私たちの仕事は大きく二つに分かれます。一つは、窯元に依頼された型をつくること。もう一つは、自社のオリジナル商品や、依頼を受けた企業のオリジナル商品をつくることです。

一つ目の依頼されてつくる型については、幅広い陶磁器製品の型を手掛けています。食器はもちろん、陶器の人形、置物、植木鉢、電柱などで電気を絶縁して電線を支える「がいし」などもあります。焼き物というと食器のイメージが強いかもしれませんが、実は生活のさまざまなところで使われているのです。

窯で焼成すると、もとの状態から収縮、変形します。収縮だけなら計算で予測できますが、例えば大きいお皿など、大幅に変形するものもあります。それがうまく焼けるように、窯元で使用する土や釉薬の種類、成形や焼成の方法、窯元ごとのくせなども考慮しながら、型を調整しています。

■依頼を待つだけでなく、自ら製品を企画
約15年前からは、型の依頼を待つだけでなく、自ら企画した自社ブランドの製品も手がけるようになりました。私たちが型をつくり、窯元に焼成を依頼して製品をつくります。
先代は自由に挑戦させてくれましたが、しがらみの多い業界で、当初は協力してくれる人がなかなか見つかりませんでした。商品がさまざまなメディアに取り上げられるようになると、徐々に協力者が増えてきたのです。

これまで、さまざまな商品やシリーズを展開してきました。
例えば、ニットなど日常にある異素材のテクスチャーを器の表面に彫り込んだ「Trace Face」シリーズ。

古くからの陶磁器の装飾を器に彫り込んだ「彫付」シリーズ。

色をつくるのが得意な窯元の特徴を活かした6色展開の器などです。

外部のデザイナーと開発したものもあれば、私たちがデザインしたものもあります。
企画するときには、さまざまなアイデアを普段から貯めておき、他の要素と結びついてひらめいたときに形にしていきます。例えば2024年に発売した「TeruTeru BASE(台座トレー付)」は、底が揺れる花びんです。

以前から、てるてる坊主を陶器でつくったらかわいいだろうと思っていましたが、それに花びん、底の揺れるコップのゆらゆらする仕掛けなどの要素が結びついて、ひらめく瞬間がありました。

こうした底の揺れる製品は、台座の上で焼く必要がありますが、その台座は通常、一度焼くと捨ててしまいます。材料もコストもかかるのにもったいないと思い、その台座自体もデザインして、花びんと一緒に提供することにしました。捨てるはずだったものに価値が生まれ、それだけ手間がかかっていることも伝えられます。

他にも例えば、アイスクリームや薪など、さまざまな形のアロマストーンがあります。

型のことを知ってもらうきっかけになるよう、型の原料である石膏を使った商品ができないかと考えていました。型の原料が石膏なのは、石膏が粘土の水分を吸って粘土が固まるからです。アロマストーンなら、そうした石膏の吸水性を伝えられると気付きました。

今後は、これらの商品を改めて整理し、方向性を定めて打ち出していこうと考えています。

他に、企業のオリジナル製品も手掛けていて、これまでペット用のお皿などを開発しました。
現在は、依頼を受けた型づくりとオリジナル製品では、オリジナル製品が7割を占めるようになっています。

私たちが挑戦していることを紹介します

■型づくりをより広く知ってもらいたい
焼き物の学校はいくつもありますが、2〜3年の期間中、型の勉強をするのはほんの数日間だけです。新しく入社する人には型のことを0から教えなければならず、会社の負担が大きいのが現状です。もう少し、型への興味や知識を持って入社してもらえるといいと考えていました。
また、陶芸作家にも型を使う人が増えていますが、よりいい型を使えばもっといい作品になるのにと思うこともあります。

そんな中で提供を始めた「カタノキョウカショ」は、動画で型のつくり方を学べる教材です。また、型作りを教える講座「カタノガッコウ」も始めました。

今私たちには、原型から販売用の型をつくる二人の社員がいます。今後できることを増やして、いずれは原型もつくれるようになってほしいです。そのためにも、依頼を受けた型づくりももう少し増やしていきたいです。
最近は、毎週金曜日の夕方に、社長から原型のつくり方や道具のメンテナンスなどを教える時間をつくり、コミュニケーションも取れるようにしています。

■陶磁器を売るだけでなく、背景や思いも伝えるイベント
陶磁器産業は縮小が続いています。瀬戸の焼き物は分業制なので、窯元や原料屋など他の会社が続けられなくなれば、私たちの仕事もなくなってしまいます。自社ブランド製品をつくろうとしても、焼いてくれる窯元がなくなってしまう可能性もあります。

そうした中で、私たちは産地を盛り上げるイベントにも関わっています。現在行っているのはLand of Pottery 瀬戸体感陶器市です。
 
ただ陶器を並べて売るだけではなく、ワークショップや制作実演、制作過程や原料の展示なども行い、陶磁器の背景や私たちの思いなども伝えて、広く瀬戸焼を知ってもらうことを目指しています。
イベントを一緒に運営したい人や、私たちの思いに共感してくれる人も少しずつ現れてきました。こうした流れがあれば、陶磁器の価値を見直してもらえる時期がまた来るのではないかと思っています。

また、陶磁器産業が縮小する中で、昔は当たり前にできていた技術が、今は誰もできなくなっていることもあります。例えば細かい絵を描く、焼き物の人形をつくるなどです。
その中には、私たちがまだ型をつくれるものもあるので、可能なうちに形として残しておきたいと考えています。それが焼き物の可能性を広げることにつながるはずです。

私たちのつくる型にしろ、製品にしろ、それに携わる人が豊かな気持ちになってくれればうれしいです。型の作業性がいいとか、使いやすいとか、それによってうまく焼けたとか。そして、その型でできたものを誰かが使って幸せになってくれるといいですね。
かわいいものをつくるだけなら、デザイナーを起用すればできるかもしれません。でも、そこで終わりたくありません。「かわいい」を入り口に、その技術や背景にも注目してもらえるようになるといいなと思います。

アンバサダーの声

株式会社エム・エム・ヨシハシ
コーディネーター NPO法人G-net 谷合俊明
依頼を待つだけでなく、自分たちでブランドを立ち上げ、型づくりの担い手を増やしていく。その一歩一歩に、自分たちが瀬戸焼の未来をつくっていくんだという覚悟を感じます。ひらめきを大切に、まずやってみる吉橋さんの姿勢から、いつも勇気をもらっています!

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企業概要

代表者名
吉橋 賢一
従業員数
2名
資本金
1,000万円
事業内容
陶磁器製品の企画、卸売、販売
陶磁器用原型及び石膏型の製造
その他、石膏製品の製造
業種
製造業
エリア別カテゴリ
愛知尾張
業種別カテゴリ
製造業
WEB
https://www.mmyoshihashi.com/
住所
愛知県瀬戸市品野町4丁目22番地
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