■家族を喜ばせてきたものが、さらに多くのお客様を喜ばせるものに
私たちは名古屋にあるお持ち帰り専門のお店で、主に鯖寿司、味噌、おはぎをご提供しています。

不思議な組み合わせだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれらには、店主が家族を喜ばせるために何十年もつくり続けてきたものだという共通点があります。

店主は十代のころ、実の両親を亡くしました。その後結婚し、新しくできた家族である義父の好きなおはぎを作るようになったのです。名古屋から義父の住む愛知県岡崎市へ行くたびに、もう少し塩気があった方がいい、もう少しお米に水分があった方がいい、などと感想をもらい、改良を続けました。同様に、義母の好きな鯖寿司、夫の好きな味噌も改良を加えながら何十年も作り続けたのです。

そのおいしさが口コミで広がり、「販売してほしい」という声を受けて、約20年前にお店を構えました。当店の商品は「100％ニーズ発」なのです。

私たちは商品に食品添加物を使っていません。
材料はこの地域で昔から使われてきたもので、日本人、特にこの地域の人の体に優しく、栄養価も高いです。「おいしい」と食べていただくものが、実は体にいいものなのです。

■地域の醸造文化を発信する「がく味噌」
今、特に力を入れているのが「がく味噌」です。
これは、店主がつくっていた味噌を、約15年前に二代目がアレンジして現在の形になったもの。岡崎市で伝統製法によってつくられた八丁味噌に、大豆ミートやてんさい糖など厳選された食材を加えて調味しています。

愛知県は味噌、酢、みりん、たまり醤油などの醸造がさかんな地域です。醸造文化の聖地である愛知が誇る八丁味噌を使った「がく味噌」を多くの人に届けることで、この地域の文化も発信していきたいと考えています。
そのために、販路拡大に力を入れ、土産物店等、委託販売先を増やすことなどに取り組んでいます。

■アドバイスを生かして新たな挑戦
上記のように「がく味噌」の販路拡大に取り組んでいますが、限られた人的リソースをそこだけに割けないことなどから、なかなか容易には進みません。最近では、産業支援施設「岡崎ビジネスサポートセンター」からアドバイスをもらい、新たな方法での販路拡大にも挑戦を始めました。

例えば「がく味噌」のパッケージを瓶からパウチに変えたものを発売し、アウトドアに適した商品としても展開しています。パッケージのデザインはプロの方に依頼。開発にあたってはクラウドファンディングも行い、プレスリリースも出しました。

また、LINEを活用して、味噌の購入などで定期的に来店してくださる地域の方に訴求したり、企業のお歳暮などで使ってもらえるよう、担当者向けの割引券を発行したりもしています。
アドバイスいただいたことを丁寧に行うことが、今後につながっていくといいなと思っています。

■お店に関わることで、つながりも広がる
二代目は当店以外にも、地域のPRなどさまざまなプロジェクトに主体的に関わっています。
もし当店に興味を持っていただいて、プロボノや兼業、インターン、アルバイトなどで関わってくださる方がいらっしゃれば、代表を通じた人脈など、金銭的ではない価値を感じていただくこともできると思います。

■おいしいもので、健康に
醸造文化のさかんなこの地でつくられる「本物」は、とても体にいいんです。それをただ「おいしい、おいしい」と食べるだけで、体にいいものが体に入っていきます。私たちはそんな商品をつくっていると自負しています。
それをより多くの方に口にしていただくことで、この土地の魅力を伝えると同時に、より多くの方の健康にコミットし、多くの方を喜ばせたい。そのために、長く続けて多くの方に届けていきたいと考えています。