2023年07月02日(日)
岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【早川工業株式会社】
2023年07月02日(日)
岐阜大学社会システム経営学環の2024年度1年生31人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。
-企業概要-
代表者名:早川 寛明
事業内容:金型設計製作・プレス加工・+αの金属加工
業種:製造業
住所:岐阜県関市肥田瀬345番地
WEB:http://hykw.co.jp/
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学生)
早川工業が行っている町工場連携について教えてください。
早川工業:早川社長)
私たちはネットワークとフットワークを活かし、関市内外で150社以上の協力企業と連携しています。1つ目の強みは、お客様の要望に可能な限り応える姿勢です。これが150社との連携に繋がっています。2つ目は、流通部門を持っているため、お客様が複数の会社を管理する必要がなくなります。板金、機械加工、熱処理、表面加工等の一元管理が強みです。3つ目は、金型かプレス加工しか対応できない中小企業も多いですが、早川工業はプレス加工もできる金型製作のスペシャリストとして、幅広いお客様のニーズに対応しています。
学生)
障がい者の雇用など、社員一人ひとりの個性が受け入れられる仕組みを作る理由は何ですか?
早川工業:早川社長)
私たちの会社は、同じ考えを持つ集団を作るのではなく、多様な価値観を持つ個性豊かなチームを作ることを目指しています。様々な価値観が調和することで会社が成長し、個々の特性や強みを活かすことができます。そのため、多様な価値観を受け入れ、個々の違いを認め、社員一人ひとりが尊重し合える環境作りが重要だと考えています。
学生)
ジョブコーチの方は当事者の方々とどのように関わっているのか教えてください。
早川工業:早川社長)
雇用をするにあたって大切な心構えは特別視をすることではなく、できる限り自立できるようナチュラルサポートをすることです。ジョブコーチを配置することで、従業員の得意なことや苦手なことを理解し、指示の仕方や対応に落とし込んでいます。特性の集中力を活かしてある作業では誰よりも素早く作業をしている方もいます。障害の有無にかかわらず、それぞれの得意不得意の中でも得意な事にスポットを当て、最大限に能力を活かせる環境や仕組み作りに注力しています。
学生)
社長就任以降で最も大きな挑戦は何でしたか?どんな経験がありましたか?
早川工業:早川社長)
「多様性を尊重するダイバーシティ経営を宣言し、その実行に取り組んだことです。」宣言してから約8年ほど経ちますが、それでもまだ大変だと感じます。異なる価値観を認めることは大切ですが、簡単ではありません。スタッフにこの取り組みの重要性を理解してもらうには根気が必要です。
町工場が生き残っていくためには「イノベーション」が必要だと考え、ダイバーシティ経営に舵を切っている早川工業には、思い切りの良さとチャレンジ精神が感じられます。周りの関市にある会社で、導入しているところはありませんが、早川工業は時代に合わせて積極的に挑戦しています。
私はダイバーシティ経営という言葉を初めて聞きました。多様な人材を活かし、能力が最大限に発揮できるようにする経営だそうですが、様々な人が集まっているということは、まとめることが大変そうだと感じました。ですが、社長さんが「年齢・性別・立場なんて関係ない!様々な人が影響しあうことで相乗効果として創造性を発揮し、新しいアイデアを生み出すことができる。」と話している姿が強く印象に残りました。国内だけでなく国外(インド・マレーシア)に駐在する方が兼業や副業という働き方で関わっている町工場はなかなかないと思います。
社員からの「やりたい」という声を大切にし、ワークショップを開いたり、町のためにオープンファクトリー事業を行ったりしている、早川工業はとても魅力的です。
会社で大事にしていることは、社員一人ひとりの強みを見つけ出し、「できること」に注目してサポートすることを重要視し、活躍できる環境を提供し、社会的自立を促進することです。障がいの有無に関わらず、誰にでも苦手なことや得意なことがあります。できないことは、やらなくてよい。しかし、できないことに挑戦するときに、後押しすることができる会社です。自分の得意分野をサポートしてもらうことで役割を見つけ、会社に馴染みやすくなると考えます。このように強みを活かす意識が、安心して働ける職場作りに貢献していると感じました。
2017年にLGBTフレンドリー企業認定を取得しており、関市でも数少ないLGBTフレンドリーの会社です。LGBTQへの配慮も欠かさず、トイレを男女兼用するほか、社内教育を通じて発言やジェンダー理解を見直す機会を設けています。ジョブコーチによる定期的な研修も行い、多様な価値観を尊重する職場作りを行っています。少しでも従業員の方たちの不満を和らげ、安心して働いてもらうといった社長さんの従業員の方たちを大切にしている姿が印象に残りました。
今回取材をするまでは、金属加工の工場が全ての製造工程を自社で行うのが一般的だと考えていました。しかし、実際には一つの工場では特定の工程しか行わないことが多いと初めて知りました。全ての工程を引き受けることができるのは、早川工業が他社と異なる大きな優位性です。
早川工業では、注文から製造、発送まで一貫して行うことができます。これにより、全ての工程を理解しているからこそ可能な細かな調整やコスト削減のアドバイス、その後のアフターケアも提案でき、お客様の手間を大幅に削減することができます。
この包括的なサポートは、早川工業の大きな強みであり、信頼できるパートナーとしてお客様から高く評価されています。「すべて早川さんにお願いしたい」と思わせる信頼感を生み出す仕事であることがとても印象的でした。
早川工業は、顧客との信頼関係を大切にしています。例えば、早川工業が顧客を「お客さん、お客様」と呼ぶように、顧客側も「早川」ではなく「早川さん」と呼んでくれるような関係です。
そして、社長さんは顧客とwin-winな関係を築き、お互いに協力することで、より良い製品をつくりたいと考えています。例えば、ある会社とのプロジェクトでは、顧客と密に連携を取りながら進めた結果、予想以上に高い品質の製品が完成しました。このように、早川工業は顧客と対等な関係を築くことで、コミュニケーションを円滑にし、製品の品質向上を目指しています。
自社の技術を高めるだけでなく、顧客との関係からもよい製品をつくろうとするのは早川工業の強みであると感じました。また、会社と顧客の双方にとってより良いものを作ろうとする姿勢に感動しました。
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■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2024年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2024年度前期
■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで