2023年07月19日(水)
岐阜大学生とつくる企業図鑑-2023-【八州製作株式会社】
2023年07月19日(水)
岐阜大学社会システム経営学環の2023年度1年生32人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。
-企業概要-
代表者名:瀬古知里
事業内容:アルミダイカスト金型の設計・製作
業種:製造業
住所:岐阜県羽島市舟橋町出須賀4-68
WEB:https://www.yashima-ss.co.jp/
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学生)
八州製作さんではどんな製品をつくっているのですか。
八州製作:瀬古社長)
私たちは自動車部品などの製作時に使用する金型をつくっています。金型がどのようなものか分からないのであればたいやき器をイメージするといいですよ。お客様によって型はまったく異なるものになるのでフルオーダーメイドで対応し、製品が壊れた際のメンテナンスまで行っています。また、満足のいく仕上がりになるように、時には完成した部品を使用する企業さんと1回の取引で約10回もの話し合いをします。
学生)
家業を継ごうと思ったきっかけは何ですか。
八州製作:瀬古社長)
十数年ほど、大きい企業で働いていましたが、中小企業に出向する体験をしました。大企業では、直接お客様とやり取りすることはなかったため、社外に出て初めて、お客様への対応などの社会の本当の姿を知りました。大手だと会社全体を見ることができず、もっと全体と関われたほうが楽しいと考え始めた時、家業の存在を思い出しました。そこで、せっかくなら戻ってみようと思ったのがきっかけです。
学生)
社内の働く環境をよくするために取り組んでいることは何ですか。
八州製作:瀬古社長)
女性が働きやすい環境を作るため、まず、私個人としては、私が女性だと考えすぎないようにしています。そうすることで、自分にも女性社員にも限界をつくらなくなります。会社としては、女子トイレのない工場で女性社員が勤務することとなり、新たに女子トイレを作りました。総務はほとんどが女性で、決められた仕事以外にも新しい仕事をやってもらっています。男性社員に関しては、育休取得の拡大に取り組んでいます。今までに、数人の男性
社員が育休を取得しています。
学生)
目指す将来像と、時代の変化につれて今後変えなければならないことは何ですか。
八州製作:瀬古社長)
目指す将来像は、「世界をリードするモノづくり企業を技術パートナーとして支える」です。完成品を作る大企業に部品を提供する企業をお客様としている八州製作にとって、顧客の顧客までを想像して金型を提供することを意識しています。そして、時代の変化につれて、人口減少に伴って人が不足することが考えられるため、コストや効率を考えながら社内のオペレーションなどを自動化しなければなりません。
もともとは大企業に勤められていた瀬古社長は、会社全体と関わったり、お客様と直接やり取りしたりする楽しさを大企業では感じることが難しいと考え、家業であった八州製作株式会社を継ぎました。その言葉の通り、会社を案内してくれている際に社員に声をかけていたり、インタビュー中には何度も「お客様」という言葉を口にしたりする姿が印象的でした。大企業ではほとんどの仕組みが制度化されていますが、一歩外に出ると自分が動かないと何も始まらないことを学びました。
就任後、業務のデジタル化や採用スタイルの変化など、社長自らがやり始めたことがたくさんあります。社員のための環境整備の奥には、常にお客様がいます。先代から受け継いだ「信頼はすぐになくなるから、お客様には迷惑をかけない、ごまかさない」という教えを念頭に瀬古社長が率いる八州製作に、これからも注目していきたいです。
八州製作では、働きやすい環境を作り出すため、女性が働きやすいように設備整備をしたり、男性が働きやすいように育休を取得しやすくしたりしています。瀬古社長が、女性が働きやすい環境を作るという点において、「自分が女性であるということを考えすぎないように意識している」とおっしゃっていたことが特に印象的です。男性の多い製造業で、女性が働きやすい環境を作るために、男性側の配慮が必要だと思い込んでいましたが、女性自身の意識が重要な要素になると知り、驚きました。
現在、女性の社会進出が叫ばれており、私たちは、自分が女性であることを強く意識してしまい、それにより、自分を制限してしまっているように思います。瀬古社長の考えは、女性が自分たちにもできることが多いことを気づかせてくれるため、男女平等社会構築にもつながる考えだと思いました。
金型業界では大抵の企業が依頼された金型をつくり納品するだけですが、八州製作さんでは他の企業ではあまりやらない設計からメンテナンスまで責任をもって取り組んでいます。金型はお客様によって求められる形がまったく異なるので、取引の際は何度もお客様と話し合いをし、満足のいく製品を納品できるようにしています。モノづくりをするうえでお客様のニーズを叶えていくことは必須になりますが、出来上がったものを一度実際に使ってもらいフィードバックを得て修正などをする仕組みがあるため、求められた製品をしっかり完成させることが可能になります。30年以上もの取引が続いているお客様が10社もあるというのも納得できる取り組みだと感じました。
ビジネスとものづくりは相手のニーズに応えることが重要になります。ビジネスについて学んでいく自分にとっては、お客様に対して真摯に向き合い相手のことを知っていく姿勢に感動しました。
瀬古社長の姿勢に非常に感銘を受けました。なぜなら、プログラム部門など複数の部門の様子をきちんと把握しているからです。また、先述したとおりチャレンジ精神が旺盛です。とても頼れる社長だなと思いました。そして、お客様の要望に応える製品を作れなかったとき、もちろん従業員は悔しさを感じると思うが、社長自身も同じ感情を抱えるなど、社員と社長の感情が共有されている点も素晴らしいと思いました。
また、これからは自動化の時代が来るのだろうと思っていたが、全てを自動化することは愚策であることが分かりました。自動化にはもちろんコストがかかり、単純なものの加工に関しては人間の手での加工の方がコストパフォーマンスがよいのです。ここから、狭量的な視点では最適な解決策を見つけることはできないが、多角的な視点をもつことで最適な解決策を見つけられることを実感しました。
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岐阜大学生とつくる企業図鑑-2023-特集ページ
■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2023-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2023年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2023年度前期
■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで