2023年07月19日(水)
岐阜大学生とつくる企業図鑑-2023-【株式会社カネコ小兵製陶所】
2023年07月19日(水)
岐阜大学社会システム経営学環の2023年度1年生32人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。
-企業概要-
代表者名:伊藤 克紀
事業内容:陶磁器製造・販売
業種:製造業
住所:岐阜県土岐市下石町292-1
WEB:https://www.ko-hyo.com/
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学生)
ターゲットにしたい年齢層となぜその年齢層を狙っているのかが知りたいです。
カネコ小兵製陶所四代目:伊藤祐輝さん)
うつわは基本的に料理をする人たちが好んで買っていくものなので必然的に料理をしている人口にターゲット数は比例すると考えています。その理由から、母数の多い料理をする30〜50 代の主婦などに向けて販売しています。現在は40〜50代くらいのお客さんが多いですが、父の日・母の日のプレゼントとしても適しているので若い人たちにも両親と訪れてほしいですね。
学生)
どうしてそれほどまで美濃焼に情熱を注げるのですか?
カネコ小兵製陶所四代目:伊藤祐輝さん)
私は「文脈」を大切にした生き方をしたいと考えています。「文脈」とは何故その選択肢を選んだのかを言えることです。私の場合は、生まれたときから家のいたるところに美濃焼があり、美濃焼に支えられ、美濃焼に生かしてもらっていました。これは自分にしかないものであり、美濃焼を作ることで親が喜ぶことも理解しています。自分にとってはこの文脈が大切なものであり、いまはこれしかないと思っているため、美濃焼づくりに全力を注いでいます。
学生)
企業理念にもなっている「小さな」しあわせとはなんですか?
カネコ小兵製陶所四代目:伊藤祐輝さん)
「小さな」しあわせとは、うつわが生み出す「笑顔」と「コミュニケーション」です。カネコ小兵製陶所では、うつわそのものではなく、使われたときに生まれる価値に着目しています。例えば、普段使っている料理のうつわをカネコ小兵製陶所のうつわに変えたことであまり会話のない夫婦がうつわをきっかけに会話がはずんだり、子供が嫌いだった食べ物もおいしく食べてくれたりするようなしあわせを目指しています。
学生)
創業当時から続いていることは?
カネコ小兵製陶所四代目:伊藤祐輝さん)
作り方や場所はもちろん変わっていないです。そして初代から四代目(現在)まで性格も変わっていないです。前の代に思いをきいているわけではないですが、前の代がしたかったことやどのような思いで取り組んでいたかなどは、働く内にわかります。さすが、血が繋がっているのだなと思います。
伝統産業と聞くと、世間に古めかしいと捉えられ、後継者がおらず衰退していくイメージがありました。しかし、カネコ小兵製陶所さんは世界に羽ばたく新商品を次々と生み出し、成長と発展を続けています。
「伝統をまるっと肯定はしないようにしている」四代目の伊藤祐輝さんが話してくれたこの言葉には、伝統には一部不変的な良さがあり、その芯となる良さ以外はそぎ落としていくべきだという意味が込められています。カネコ小兵製陶所さんは100年間で神仏具、とっくり、ぎやまん陶と商品をガラッと変えてきました。しかし、「手作業」から生まれる温かさと、人の手が加わっている実感と感動は変わりません。私はこの考え方があるから時代に合った形の伝統が生まれ、進化を遂げられるのだと感じました。そして、本当の伝統とは変わっていくものなのだと衝撃を受けました。伝統産業を本気で考え、向き合う姿勢は、カネコ小兵製陶所さんの大きな魅力です。
カネコ小兵製陶所さんには、CMやYoutubeなどさまざまなメディアでカネコ小兵製陶所の商品が使われているのを発見したら報告してくれるお客さんがいます。私は、正直、自分が使っているお皿がどこの会社のものなのか気にしたことがなかったので、カネコ小兵製陶所さんのお皿だと気付いて報告してくれる人がいることにお客さんとの強いつながりを感じ、感動しました。
カネコ小兵製陶所さんでは、インスタグラムを活用し、お客さんとの距離を縮めています。「#うちで盛ろう」 では、テイクアウトした商品をカネコ小兵製陶所のうつわで盛りつけることでコロナ禍の食事を華やかに、おいしくし、たくさんの人に小さなしあわせを与えました。また、ファンミーティングや毎月第一土曜(1月・8月は休み)に行われる月イチ体験型ショップ「窯や小兵」では実際にお客さんに来てもらい、工場見学や実際に見て触って商品を買ってもらうことによって、お客さんと直接関わる機会を設けています。カネコ小兵製陶所さんのことを思ってくれる人がいるのはこのように普段からお客さんとのつながりを大事にしているからこそなのではないかと思いました。
私たちは日々何かを食べる際には器に入れて食べます。食べるものは磁器に入れてもガラスの容器でもプラスチックの容器でも同じですが、磁器はその製造過程において職人さんたちが一つ一つ手作業で作り上げています。カネコ小兵製陶所さんでは原料の土に何億年も前の地層から掘り出したものを使っていて、そのため器自体は新しくできたものですが実際は遥か昔から存在しているものを手に取っているという何とも神秘的な事実があります。
社員の方々が活き活きと仕事に取り組んでいる様子や、社員さん側から声をかけていただき、実際に体験をさせてもらったりと、社員の方々からカネコ小兵製陶所で働いていて楽しいと思わせるような雰囲気でとても温かみを感じました。このような雰囲気になるのも伊藤祐輝さんの人柄や、工場内にあるホワイトボードにコンビニで買ったスイーツの話や子どもが手伝いをしてくれた話など「小さなしあわせ」を従業員が当番制で書き込み朝礼で共有しているといった理由があるのかなと思いました。
今回、カネコ小兵製陶所さんを訪問させていただいて、こんなにも温かい職場があるのかと関心を持ち、「小さなしあわせ」を共有していることからしあわせは伝染するのかなと思いました。なので、僕は自分はもちろん相手もしあわせだなと思うような生活を送りたいと感じました。
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■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2023-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2023年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2023年度前期
■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで