【ヒト図鑑ストーリー特集】プログラミングから窯業の世界へ。「やらざるを得ない」環境で日々成長 - 東海ヒトシゴト図鑑

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【ヒト図鑑ストーリー特集】プログラミングから窯業の世界へ。「やらざるを得ない」環境で日々成長

【ヒト図鑑ストーリー特集】プログラミングから窯業の世界へ。「やらざるを得ない」環境で日々成長

ヒト図鑑には、さまざまなヒトの人生における選択が掲載されています。
この特集では、その選択の背景や、選択に至る思考回路を掘り下げたり、選択時の指標を明らかにしたりすることで、読者の皆さんが選択するときの判断材料としていただきたいと考えています。

今回のストーリーの主役……
大東亜窯業株式会社 豊崎奨真さん

岐阜県瑞浪市で食器の製造を行う大東亜窯業株式会社に入社3年目の豊崎奨真さんは、生産管理や新入社員への指導などを担当しています。
大学時代の専攻はプログラミング。入社まで縁のなかった窯業、製造の世界で、部署の改善に取り組み、会社の未来を支える存在へと日々成長しています。

 

会社の考え方にひかれ、縁のなかった業界へ

もともとパソコンやロボットが好きだった豊崎さん。自分が組んだプログラムでロボットやソフトウェアが動く姿にあこがれ、プログラミングを学べる大学を選びました。
ただ、仕事としてプログラミングを行うプログラマーの実態を調べてみた豊崎さんは「結構ハードな仕事」だと感じ、イメージしていたのとは違う部分があることに気付きました。
また、授業の課題などで実際にプログラミングをしていて気付くこともあったそうです。

「プログラムを組んだ後に実際に作動させてみて、動かなければなぜ動かないのか、さかのぼって調べていく。その繰り返しが、学生レベルでも自分にとっては結構大変で、これを仕事にするのかと思うと、ちょっと気が引けてしまいました」

豊崎さんは大学を辞め、実家に戻ることに。別の勉強をするよりは働きたいと思っていたとき、父親の知り合いから紹介されたのが、実家の近くにある大東亜窯業でした。豊崎さんは工場を見学し、面接を受けることに。

「製造の仕事に触れたのは初めてで、見学しても何をやっているのか全然わかりませんでした。でも、面接で社長と話して、自分だけでなく相手や周りの人もよくなるようにという「三方よし」の考え方を聞き、素敵な会社だなとひかれました」

入社後の1年間は、研修として工場全体のさまざまな部署を回り、製造作業を行っていました。他にも、座学で業務改善の基礎を学ぶなどの研修もありました。先輩社員たちは優しく、仕事のフォローや世間話など、さまざまな場面で声をかけてくれました。
ただ、さまざまな部署を回る中で、部署によって作業のわかりやすさにばらつきがあることが気になっていました。ルールが整っている部署は、新人の豊崎さんでも作業がしやすかったのです。

 

15人のメンバーがスキルアップしていけるように
入社2年目からは、大東亜窯業の製造部で、素焼きの器に手作業で釉薬を塗る「加工課」に所属しています。担当する仕事は、製造部全体を管理する職長を補佐しながら、現場に指示を出したり、一日の生産計画を立て、現場の流れに合わせてそれを組み替えたり。新入社員や、研修で他部署から来た社員に仕事を教えたりもしています。

「生産管理板」を見ながら、日々の生産進捗をチェックし、翌日以降の生産計画を立てています。

 

入社2年目からは、大東亜窯業の製造部で、素焼きの器に手作業で釉薬を塗る「加工部」に所属しています。担当する仕事は、製造部全体を管理する職長を補佐しながら、現場に指示を出したり、一日の生産計画を立て、現場の流れに合わせてそれを組み替えたり。新入社員や、研修で他部署から来た社員に仕事を教えたりもしています。

加工部のメンバーは約15人で、ベテランと若手に二分されています。誰がどの場所を使ってどの作業をするか計画を立てるときには、メンバーそれぞれの現在の技術力だけでなく、少しずつスキルアップしていけるように考慮しています。

「部署の中にも、「この筆をこの角度で当てて」と理論的に説明するのがわかりやすい人もいれば、「ちょっと柔らかめに」と感覚的に言ったほうが理解してもらえる人もいます。この人にはこう伝えると伝わりやすい、というのが、ようやく少しわかってきました」

実は豊崎さんは「誰かに教えるのはものすごく苦手だった」といいます。

「最初は抵抗もありましたが、もう、やらざるを得ないというか。その環境にいることで、だんだんと自分でもやり方を学習して、適応できるようになってきました。そこは成長できたところかなと思います。
自分が新人のときに感じていた「どうやって作業したらいいのかな」「誰に聞こう」といった不安を、これから入ってくる人たちから少しでも減らせればいいですね」

発行された製品伝票と、これから加工するものの仕様が同一かどうか、指差呼称しています。

 

部署の改善を目指し、基準を定め、紙に書く

豊崎さんが目指しているのは、部署の全員が同じ水準で仕事ができること。これは製品の不良率を下げることにもつながります。
そのためには、全員が同じルール、同じ基準のもとで仕事をすることが大切。それができる環境をつくるため、研修中に特にわかりやすいと感じた部署の様子や、座学で学んだことを基礎にして、部署の改善に取り組んでいます。

「現場に慣れれば慣れるほど、現状が当たり前に見えてしまいます。また、その人だけがやりやすいように改善を進めがちになるところもあります。
改善の考え方の基準となる一定の知識があることで、部署全体として作業をやりやすくするような、現場の改善点がよく見えてくるのです」

特に力を入れているのは、口伝えで伝わっているやり方やルールを紙に書くことです。それを必要に応じて、必要な場所に貼っておきます。例えば、道具置き場にはどこに何があるかを、機械の横にはその調整のやり方を。
部署のメンバーから出た改善アイデアも、紙に書いて表示してもらうようにしています。口頭だけで伝えられてあいまいだった部分も、書くことではっきりし、誰もが見てわかるようになるのです。

調合された絵の具の入ったペットボトルとその棚に、種類と日付、保管位置を表示しています。豊崎さんの主導で、より管理しやすいように改善しました。

 

豊崎さんも必要な表示を思いついたら、紙に書いて貼っています。今あるルールをまとめたり、感覚的に伝えられていることを理論的に整理して、基準を定めたり。思いついたらすぐに行動に移すことが大切だと学んだので、まずは手書きで。効果があればパソコンで清書し、うまくいかなければ作り直します。

表示をつくる上で常に考えているのは、どれだけわかりやすくできるかということ。文章はできるだけ短く、図や写真などを入れて、比較の形にする、などと工夫しています。

「うーんと頭をひねりながら仕事をするのは、働いている実感がありますね」


プログラミングが思わぬ形で仕事に生きる

入社前は想像もつかなかった仕事に飛び込んで3年。実は豊崎さんは、学生時代にプログラミングで学んだことが、仕事に「思わぬ形で生きている」と感じています。基準を定めたり、感覚的なものを理論的に説明し、わかりやすく伝えたりするところには、プログラミングと共通する考え方があるのです。

「プログラミングは、もののつながりや流れをどれだけわかりやすくパソコンに教えてあげるかが重要です。そういった論理的な思考が、今の仕事に生きているのかなと感じます。
現場全体を俯瞰して何か変化を起こすときには、プログラミング以外でも、学生時代に学んだことが生きることは多いのではないかと思います。どう生きるかは、これから入ってくる方々の仕事の楽しみになるのではないでしょうか」

今の仕事は「楽ではないけれど、自分にとっては現実的なハードさ」と感じているという豊崎さん。

「研修で回ったときに一番わかりやすかった部署に、今いる部署を近づけていきたい。誰でも作業しやすい環境をつくっていきたいですね」


大東亜窯業株式会社について、詳しくはこちらから。

豊崎奨真さんのヒト図鑑はこちらから見られます。

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