トヨタケ工業株式会社 - 東海ヒトシゴト図鑑

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トヨタケ工業株式会社

自動化できないシートカバー製造 人間関係のもやもやは論理的に解決

自転車ツアーと製造業を組み合わせた働き方で入社した人材が次世代を担う

私たちはこんな会社です

■シートカバーは人の手でないと作れない
私たちの本業は、自動車のシートカバーをメインとする製造業です。
この材料の裁断には、自動カッターの機械を用いますが、シートカバーに仕上げる工程では、ミシンを使って人が1枚1枚部品を縫い合わせていきます。
自動化が難しい要因はいくつかあります。材料は革や合皮などで、裏にはスポンジがついていて分厚いです。それでも鉄製の自動車部品などと違って柔らかく、機械が形を保持するのは難しいです。
また、材料を重ねて裁断すると少しのずれが生じますが、そのまま縫うとずれがどんどん大きくなっていきます。それを調整し、手で合わせながら縫うには、勘やコツが必要です。3次元のものを、形をどんどん変えながら縫っていくのは、人の手でないとできない仕事の一つであり、人間の技量が現れる、人間くさい仕事です。

シートカバーは海外で生産されることも多いです。人件費の安さではかなわないこともありますが、品質面や生産性、対応力などで、お客様に便利だと思っていただけるところもあります。
例えば、シートの色が急に変更になったとき、海外で製造して届けるには時間がかかり、在庫が多く発生します。お客様の近くですぐに製造して届けられる会社も必要とされているのです。

私たちの会社があるのは愛知県豊田市稲武(いなぶ)地区で、豊田市の北東の端、市街地から車で約1時間のところです。名古屋でアパレルの会社を営んでいた先先代が、シートカバー事業に参入する際に、旧稲武町から誘致を受けて工場を設立しました。それ以来、この地区の仕事インフラのような側面があり、女性が製造の主力となってきました。
当社で働くのは、国籍は多様ですがすべて地元の方です。40年以上勤続している方や、70代のベテランも何人もいます。地域で働く場所が限られ、暮らすように働きに来る人もいる中で、私たちにとってもいい会社で、従業員にとっても安心して長く働ける会社でありたいと考えています。

■「トヨタケ道場」でじっくり教える
ミシンの仕事は部品の数も多く、技量が必要です。私たちは社内に「トヨタケ道場」というスペースを設け、2016年ごろから、ここで新人教育を行っています。
まずは工場の安全や品質をきちんと教えます。例えば基本的な持ち方をくせづけ、決まった製品規格の中央値で作れるようにします。そして、不良なく一人でシートカバーを最後まで作れるようになるまで、2週間から1ヶ月間かけて教えるのです。
ベテランの方でも誤ったくせがついている場合は、道場で改めて論理的に理解してもらうこともあります。

きちんと縫えるようになると、長く働くほどうまくなります。だからこそ、きちんと教えたいし、長く勤めてほしいのです。

■会社も従業員も、長く安心して働ける会社づくりに努力
従業員に長く働いてもらうために会社ができることとして、子育てや介護などの事情になるべく個別に対応し、ライフステージに合った働き方ができるようにしています。
従業員に女性が多く、産休や育休を取得する人も多いですが、時短勤務でもいいのでぜひ復帰してほしいと伝えています。子どもが大きくなってきたらフルタイムに戻るなど、女性が働きやすいように時短勤務をフレキシブルに認めているのです。そして、残った人で業務が回るよう事前にトレーニングしています。

会社が取り組む一方で、従業員同士の人間関係もとても大事だと思っています。
仕事の不安の半分ほどは人間関係だと思います。自分と価値観の違う相手のことも理解しようとする素直さを持ち、気持ちの面での努力ができると仕事がしやすくなると思います。

当社で取り組んでいるのはQCサークル活動です。従業員全員がどれかのサークルに所属。月2回から4回、活動の時間を取り、トヨタ自動車式の問題解決手法に基づいて、職場のもやもやの解決を図る時間をとっています。問題を認識し、数値化し、本当の原因を探すといった、この手法の8つのステップに沿って考えることによって、声の大きい人の一言で場の雰囲気が悪くなるようなことを避け、論理的に問題解決できるような職場にしたいと考えています。そのために、職場をつくる従業員自身が問題解決手法を学べるようにしているのです。
月1回は「社長塾」として、従業員の話を聞きながらフォローする会を実施。また年2回、QCサークルで改善事例の発表会を開催しています。

社長自身も、社内でのコミュニケーションに気を遣っています。約1年前からは「しゃちょーコーヒー」を始めました。週1〜2回、昼休みに休憩室などで社長が豆を挽いてコーヒーを淹れています。社長には話しかけにくいという従業員も多いですが、コーヒーの場で話ができればと考えています。
これまでに1000杯以上を出しました。普段は口数の少ない若い従業員も飲みにきてくれるので「最近どう?」などと話すことができます。また、普段接点の少ない従業員同士が交流する場にもなっています。

■自転車ツアーガイドと組み合わせた働き方で入社した社員が成長
2015年からは「Open Inabu」の活動にも取り組んでいます。
当時、就任したばかりの現社長は従業員を募集したいと考えていました。ただ社内で話す中で、稲武に住む人材は限られているため、従業員募集には移住者を募るしかないと考えるようになったのです。

私たちは市の助成を活用して、空き家に住むことと当社で働くことを一緒に発信する「Open Inabu」の活動を開始。その2年目に、社長が以前から好きだった自転車をヒントにして、助成を活用して地元の山にマウンテンバイクコースを作り始めました。すると、週末に自転車を持って乗りに来る人が現れ始めたのです。

そこで助成の終了後は事業化できるよう、「Inabu Base Project」として、マウンテンバイクのガイドツアー実施を考えました。そしてその運営をする人材が、週3日間は当社の製造業で働き、週末の2日間はツアーガイドを務めるという組み合わせで働く形を考えたのです。それが「マウンテンバイクでも働ける製造業があるらしい」と自転車好きの人に響いたようで、反響が広がっていきました。
それから毎年のように、新卒や転職を考えた人たちが、自転車と働くことの兼ね合いを考えて、稲武に移住をしてきてくれました。そしてその人たちが住む場所として、使われていなかった旧稲武町時代の教員住宅を、私たちが管理・運営して提供するようになりました。

入社した若い世代は、覚悟を持って移住、入社しているので、会社のことも一生懸命考えて働いてくれました。すると他の従業員にとっても助かることが増え、若い世代に希望を見出せるようになったのです。

プログラム開始から10年。入社した人たちがさまざまな成果を出し、当面は将来の幹部人材の心配もなくなりました。製造業ですでに部長クラスになった人や、地域で働く若手社員がプレゼンを行う「ルーキー・オブ・ザ・イヤーin LOCAL」の豊田市大会で受賞した人、育休を取得した人もいます。
中には、ライフステージの変化に伴って退職、転出した人もいます。ただ、退職しても稲武に住み続けている人も多いです。

現在は本業を優先し、マウンテンバイクはできる範囲で行っています。2026年度は4回のツアーを開催予定です。従業員だけでなく、これまでのツアー参加者なども含めたコミュニティでツアーを運営することも考えています。
こうした発信を続ける中で、興味を持ってくれる人がいれば、さらに次の世代の採用も考えていきたいです。

私たちが挑戦していることを紹介します

■ミシンカフェを新たなモノづくりにつなげたい
以前から、新人教育などを行う「トヨタケ道場」のスペースが空いている期間に、学生インターンを受け入れ、縫製体験などを行っています。
今後はさらに、ここを「カフェの様に気軽に工業ミシンを使える場所(Fabcafe)として」一般公開する準備をしています。。工業用ミシンをレンタルミシンとして、気軽に創作活動などに使ってもらえればと考えているのです。
ここに通ってもらうことが、私たちの仲間づくりにつながればと考えています。その方が移住を考えた際には、当社で働くことが選択肢の一つになればと思います。
また、創作活動を行う方とつながることが、今後自社ブランドのものづくりのきっかけにもなればと考えています。
将来的には一社依存ではなく、事業の多角化、自社ブランドのものづくりの推進も考えていますが、現在のところはシートカバーに特化していて、普段の仕事で「失敗してもいいからやってみよう」というカルチャーはあまりありません。そんな中で新しいことを始めるのはハードルが高いことですが、レンタルミシンをきっかけに、少しずつ進めていければと考えています。

■世界とつながることで会社の価値を再定義
今後は、世界とつながることを実現させていきたいです。
すでに始まっているのが研修事業です。月2回ほど、東南アジア、中央アジア、ヨーロッパ、南米、アフリカなど世界中から視察を受け入れています。
海外の方からは、きちんと育成された人材で固められた工場で、ものづくりを一生懸命に行っていることを評価されたり、自然豊かな地域で新しい取り組みをしているビジネスモデルに興味を持ってもらえたりしています。

世界とつながることで、会社の価値が再定義され、稲武の価値も上がっていくと思います。ここでやっていることが自然と世界につながり、世界中から評価されることで、私たちの価値を明確にしていきたいです。また、そういった場所を目指すことで、若い世代にとってのやりがいも生まれると考えています。

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企業概要

代表者名
代表取締役社長 横田幸史朗
従業員数
70名
資本金
3000万円
事業内容
トヨタ自動車株式会社 内装用シートカバーの製造
自社ブランドの企画製造
業種
メーカー
エリア別カテゴリ
愛知西三河
業種別カテゴリ
社会教育、まちづくり製造業
WEB
http://www.toyotake-kogyo.co.jp/
住所
愛知県豊田市桑原町中山形28番地
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