岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【有限会社大橋量器】

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岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【有限会社大橋量器】

岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-【有限会社大橋量器】

岐阜大学社会システム経営学環の2024年度1年生31人による「東海ヒトシゴト図鑑学生編集部」から4人が共に挑戦したくなる中小企業を取材!見つけた魅力をご紹介します。

-企業概要-
代表者名:大橋 博行
事業内容:木製ます、計量器の製造・販売 木製食器、木の器の製造・販売 masu cafeの運営
業種:製造業
住所:岐阜県大垣市西外側町2丁目8番地
WEB:https://www.masukoubou.jp/
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学生)
一番苦しかった時期と、その乗り越えについて教えてください。
大橋量器:大橋社長)
一番苦しかった時期は、マスを使う習慣が減っていった時期です。マスを使って計測する文化や祝いの場で使う文化が次第に衰退し、マス市場が縮小していきました。
この状況を打開するために、私たちは生活雑貨などの分野でマスに新たな用途を持たせようと努力しています。その過程で多くの困難に直面しましたが、お客様の要望に応える中で、新しいものを創る技術力が向上しました。こうして、現在のように新しい製品を生み出す基盤が整ったのです。

 

学生)
国内シェアNo.1の大橋量器さんですが、会社で一番誇れるポイントはどこですか?
大橋量器:大橋社長)
枡専門メーカーという他にはない特徴を持っていることと、「1300年の歴史」というブランドを背負っているところです。
はじめは私自身も枡に対して古いもの、時代遅れのようなネガティブなイメージをもっていました。しかし、取引先と関わる中で枡専門という独自性や「枡」という製品の持つ伝統工芸のイメージが魅力的だなと思い直しました。私たちは「枡を粋でかっこよく、枡をエンターティナーに」というスローガンを掲げて枡の魅力を発信し続けています。

 

学生)
さまざまな商品を開発されていますが、顧客の要望に対して「無理だ」と言うことはありますか。
大橋量器:大橋社長)
現在の社長の大橋さんが、入社したとき、大橋量器は仕事がなく、酒造メーカーへ飛び込み営業をし、売上を回復させました。しかし、お祝いの席などのスタイルが変わっていって、需要が減少していたため、再び売上が減少しました。そのため、顧客の要望に応える・ノーと言わない営業をすることにしました。要望を実現できる可能性が0ではないのなら、とにかくやってみるというスタンスで取り組んだ結果、インテリアなど枡の新しい使い方が生まれました。現在は自分の仕事の範囲を考えて、自身の仕事の範囲の中で取り組んでいます。


学生)
枡以外の商品は社内でどうやってアイデアをだしているのか?
大橋量器:大橋社長)
社内で案を出す方法として、私たちは様々な分野の専門家や関係者に声をかけて、製品の作り方について研究しています。デザイナーとコラボした商品開発などです。さらに、補助金などの資金を活用して、より革新的で魅力的な製品の開発に取り組んでいます。


常に斬新なアイデアを取り入れ、可能性を模索し続けるみなさんの姿勢が魅力的で、とても印象に残りました。大橋量器さんでは、社外のデザイナーと協働して新しい商品をつくる以外にも、月1回のブレインストーミングミーティングを通じて、社内から自由に新たなアイデアを募り、商品を生み出しています。
また、お客さんのアイデアを取り入れることもあると聞いてとても驚きました。従来の枡の使い方だけでなく、次の使い方を提案し続けることは決して簡単なことではないと思います。できるか、できないかという実現可能性は一旦置いておいて、どうやったら実現できるか、どういうものが良いのかを全員で考えることが新たな商品価値の発見につながり、枡の魅力を発信し続けるエネルギーになっているのではないかと強く感じました。

大橋量器さんは、枡を作る際に出る木くずを包装の緩衝材として再利用するなど、資源の有効活用に取り組んでいます。これにより、木材資源の無駄を減らすだけでなく、廃棄物の発生も削減され、環境への負荷を軽減しています。

さらに、大橋量器さんは製品の開発段階から環境への配慮を重視し、環境に優しい取り組みを積極的に推進しています。また、従業員や地域社会とのコミュニケーションを大切にし、持続可能な価値観の普及にも力を入れています。

このような取り組みにより、大橋量器さんは社会的な評価を高め、顧客やステークホルダーから信頼を得ています。持続可能なビジネスモデルの構築に成功し、ビジネスの成長と社会貢献を両立させている点が、この会社の魅力の一つです。SDGsを意識した企業活動は、企業価値の向上だけでなく、より持続可能な社会の実現にも大きく貢献しています。

 

「はかり」やお酒をいれるため器といった伝統的な使い方以外にも、枡づくりの技術を活かした面白い商品を開発して、需要を生み出しています。例えば、コロナ禍にヒットした「枡のおひつCOBITSU」は、炊き立てのご飯をいれて冷凍し、電子レンジで解凍すると、炊き立てのご飯のようなおいしさを楽しむことができます。ほかにも、製造工程ででるカンナ屑を活用した加湿器「MAST」や、ヒノキの香りが楽しめる枡を使った入浴剤「Math Salt」など、伝統的な枡の使い方にとどまらない、多様な製品があります。

実際に商品を見た時の最初の感想は「かわいい!」でした。私だけではなく新しい枡のスタイルにそのような魅力を感じる顧客が増えていることがわかりました。枡のイメージが「伝統的」から、「かわいい」へ変わっていることが、とても興味深いと思いました。それと同時に、大橋さんが「枡をたのしんで」と言っていたように、伝統だけではなく、楽しみながら製品を使ってほしいという思いが形になっていて素敵だと思いました。

 

大橋量器は、伝統的な枡作りの技術を現代に引き継ぎつつ、新たな価値を創造する企業です。この企業の魅力は、その独創的なアプローチにあります。例えば、枡をビールジョッキや加湿器として再構築し、さらには部屋のオブジェとしても提案するなど、枡の用途を広げています。これにより、伝統の技術を現代のライフスタイルに適合させ、顧客に新しい体験を提供しています。

さらに、大橋量器は「マスカフェ」という事業にも挑戦しています。これは、枡の魅力を体感しながら楽しむことができるカフェであり、伝統と革新が融合した空間です。このような取り組みは、単なる商品の提供に留まらず、顧客との新しい関係を築くことを目指しています。

大橋量器の成功の鍵は、伝統を守りつつも、常に新しい視点で物事を捉える姿勢にあります。古いものを新たな価値に変え、次世代に繋げるこの精神は、他の企業にとっても大いに参考になるべきモデルであり、日本の伝統産業の未来を切り開く重要な要素です。大橋量器の取り組みは、創造性と革新性がいかにして共存できるかを示す良い例であり、多くの人々に感動を与えています。


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岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-特集ページ

■「東海ヒトシゴト図鑑×岐阜大学 岐阜大学生とつくる企業図鑑-2024-」プロジェクト概要
・実施主体 岐阜大学、NPO法人G-net
※岐阜大学社会システム経営学環2024年度前期1年生向け「初年次セミナー」(指導:髙木朗義教授)にて実施
・実施期間 2024年度前期

■本取り組みへのお問い合わせ
NPO法人G-net(担当:掛川、志知)まで